皆さん、こんにちは。(公社)大分県栄養士会の栄養ケア・ステーションを担当している、管理栄養士の濱田美紀です。
ご家族の中に、食欲が落ちて痩せてしまったり熱中症になった方はいませんか?今年の夏も猛暑日が続いております。食事の量や回数を減らしてしまい、体を動かすための栄養や水分が不足して夏バテになってしまった方もいるかもしれません。
もうすぐ涼しい秋になるから大丈夫!と思っていても、最近は夏バテを解消できないまま体調不良が秋になっても続く「秋バテ」になる方も多いようです。今回は、「秋バテ防止」について、食生活と生活習慣で気をつけて欲しいことをお話します。
食材や飲み物で体を冷やさない工夫が大切
体を温める食材の使用例
- 野菜炒め…生姜・ニンニク・にら・ネギを入れる
- 味噌汁…ネギやすりおろし生姜を入れる
- 紅茶…生姜やハチミツを入れる
この方法以外にも、食べ方を工夫することで体を温めることができます。それは、「よく噛んで食べること」です。食べ物をよく噛むことで「食事誘発性熱産生(食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること)」が高まり、体温が上がると言われています。これは簡単に今すぐにでもできることなので、ぜひ試してみてください。
旬の食材を使って必要な栄養を摂ろう
「旬」の時期の食べものは栄養価が高く、通常よりもおいしく感じられると言われています。秋の旬の食材はきのこやごぼう、さつま芋と、里芋などです。特にきのこ類(椎茸・しめじ・えのき・松茸)は旨味も多く、薄味でも美味しく食べられます。食材の使用例として3つ紹介します。
秋の旬の食材の使用例
- 味噌汁やシチュー…きのこや里芋、さつま芋をたっぷり入れる
- 炊き込みご飯…里芋やさつま芋、栗を入れる
- おやつとして栗、さつま芋を蒸す
食物繊維も豊富に含まれているので、高齢者の方で便秘が気になる方へはお勧めです。旬の食材とたんぱく質が多い肉や魚、卵、大豆製品を合わせて食べてみてください。
ビタミンB1を食事に取り入れて疲労回復
夏の疲れが残っている方は、ビタミンB1が多い食材を取り入れることと疲労回復に役立ちます。ビタミンB1は白米やパン、麺類に多く含まれていて、糖質をエネルギーに変える役割を持っていますので普段の食事に取り入れたい栄養です。ビタミンB1を含む食材の一部を紹介します。
- ごま
- 大豆
- ニンニク
- 小豆
- えのき
- 玄米
- ぬか漬け
- 豚肉
- ウナギ
このビタミンB1は水溶性なので水に溶けやすい性質があり、味噌汁やスープに加えるとそのまま体内に取り込めます。無理なく普段の食事に追加できそうな食材が多いので、毎日の献立に取り入れてみてください。
食材の使用例
- 白米に玄米を追加して炊く(玄米だけで食べられる方はそのままでもOK)
- 漬け物にごまをたっぷりかける
- えのきや舞茸、家にある野菜など豚肉を炒めた野菜炒め
- 味噌汁に納豆やワカメを入れる
生活習慣を整えて秋バテ対策を
これまで、秋バテ防止できる食材と料理の仕方についてお話しましたが、それだけでは防止・改善にはなりません。食事の改善以外にも、普段の生活習慣も見直す必要があります。
睡眠時間を確保して体内時計を整える
暑いからと寝転んでばかりでは、疲れが溜まってしまいます。起きる時間・寝る時間を決めておいて、できるだけ規則正しい生活ができるようにリズムを整えることは大切です。
楽にリズムを整えるためには、朝・昼・夕と3食の食事を摂ることをお勧めします。
適度に運動する
筋肉を使うことで血行が良くなり、食べた栄養や酸素が行き渡るようになります。毎日続けられそうな、ラジオ体操やウォーキングを習慣にできると良いですね。
しかし、このご時世ですし外出を控えている方も多いと思います。そんなときは家の周りを散歩したり、家でできそうなストレッチ体操をしたり、家事を積極的に行うと良いでしょう。
毎日の生活習慣をととのえ、体を動かす機会をつくり、しっかりと食事をすることで「秋バテ」も予防しましょう。