定員に達していない老人ホームも多く、選択肢は多数

大阪市の南端にある住吉区は、堺市と隣接しており、大阪市の中心部と堺市を結ぶ役割を持つ地域でもあります。
安心して生活を送るために、必要なインフラやサービスの大半が整備された地域となっているため、高齢者が移り住む場合も、高い生活水準で暮らしていけるようになっています。
南海電気鉄道や阪堺電気軌道の各線が通るほか、JR阪和線や地下鉄御堂筋線を利用できるため、外出するときに不便を感じることはありません。
長年住み続ける人が多いこともあって、住吉区の高齢化率はかなり際立っています。
2023年の報告では高齢化率は27.4%となっています。
少子高齢化は確実に進んでいることが窺えます。
こうした状況に対応するため、住吉区ではすでにさまざまな政策を打ち出しています。
以前から住吉区では、「高齢者・障害者・子どもたちが心地よく暮らせる街」を目標にしており、高齢者向けの施策に多額の予算を投じてきた実績があります。
「孤立死ゼロに向けた地域力向上事業」を2013年度から3年計画で立ち上げました。
区内で高齢者や障害者向けの福祉活動を行う団体には、補助金が頻繁に付与されており、これからも高齢者向けのサービスは活発になっていくことでしょう。
住吉区は人口に比例して、老人ホームや高齢者向け住宅もかなり多いです。
定員に達していない有料老人ホームやグループホーム、高齢者向け賃貸住宅がたくさん見つかります。
安さにこだわって探すなら、月額10万円~20万円台の施設が中心ですが、15万円以下の月額使用料で入居できる施設も少数ながら存在します。
高額の場合だと、月額30万円以上の施設も多くありますし、50万円を超えるケースもあります。
住吉区では、住民の高齢化に合わせてこれからも介護施設が増えていく可能性が高いです。
もちろん、既存の施設サービスの拡充も合わせて進められていくものと考えられます。
高齢者にとって住みよい街となっていくことが期待できます。
高齢化率は2030年までには30%に到達する見込み
交通アクセスとしては、JR阪和線や、南海電鉄南海本線と高野線、阪堺電軌阪堺線と上町線、大阪メトロの御堂筋線が南北に運行しています。
大阪シティバスも利用でき、主要交通機関が大阪都心に直結しているため、交通アクセスが良いのが魅力です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
近年は緩やかに人口が減少しており2010年には15万5,572人だった総人口も2015年には14万8,218人に減少、しかし、2023年には15万1,500とやや増加していることが分かりました。
とはいえ、将来推計では2030年には12万1,929人まで減少すると予測されています。
年齢別にみると、0歳から14歳までの年少人口や、15歳から64歳までの生産年齢人口は毎年減少しています。
それに対し、65歳以上の高齢者は増加中で、2001年には3万7,627人でしたが、2015年には3万9,206人まで増加、2023年には4万1,531人となりました。
将来推計では高齢者数は今後も年々増加すると見られ、2030年には4万4,903人となるようです。
高齢化率は今後も増加上昇し続けると予測されており、2015年には26.5%だった高齢化率も、2023年には27.4%となり、2030年には31.1%まで上昇すると見込まれています。
世帯でみても、一人暮らしの高齢者や高齢夫婦だけの世帯が増加しており、孤独死や老老介護による共倒れの問題も浮き彫りになっています。
住吉区はさまざまな高齢者対策や高齢者向けの福祉サービスを実施し、高齢者の生活を支えています。
介護者の孤立化を防ぐ「介護家族の会」も開催
4人に1人以上が高齢者という状況の中、高齢者にとって住みよい街づくりに励んでいます。
住吉区では、高齢者を多角的にサポートするための体制づくりとして、地域包括ケアシステムを構築中です。
地域包括ケアシステムの中核となる「地域見守り支援システム」を住吉区全体で施行しています。
システムの一環として、高齢者や障がい者、子育て世代の支援など、全世代が快適に暮らせるように、相互支援を行う体制を整備中です。

また、高齢者の孤独死や孤立を防ぐため、見守り支援システムを構築しています。
地域全体での支え合いを実現するため、実際問題を話し合う「地域ケア会議」や「住民座談会」も実施しおり、住民の悩みが直接、住吉区の行政に届くようにしています。
さらに、地域見守り相談室や地域包括支援センターでは高齢者の相談に直接対応することで、高齢者とその家族の心の拠り所となっています。
小地域ネットワーク活動では、ふれあい喫茶や食事の配食サービスを実施しています。
高齢者やその介護家族が孤立しないようにサポートしています。
認知症高齢者とその家族の介護負担の軽減し、孤立化を防ぐ「介護家族の会」も開催しています。
住吉区は多方面で高齢者を支えています。
80歳までに20本の歯を残す「8020運動」で介護予防を促進
住吉区では、長く健やかに生きていけるよう、介護予防活動に力を入れています。
各地の会館で介護予防や健康づくりを目的とした健康体操や体力測定、講演会を実施中です。
特に、大阪市全体で実施している「いきいき100歳体操」を住吉区でも推進しています。
いきいき100歳体操では、30分程度の筋力活動が行えるため、転倒防止や健康寿命の延伸につながっているようです。

高齢者が、自分の家から通いやすいように、さまざまな場所でいきいき100歳体操を開催しています。
住吉区老人福祉センターで定期的に行っているため、高齢者の通い場にもなっており、「毎回体操仲間と会えるのが嬉しい」といった感想も聞かれます。
また、住吉区では「住吉区健康まつり&食育展」を毎年開催しており、各種測定や体操ゲームで健康を促進を図っています。
80歳までに20本の歯を残す「8020運動」の表彰式も行っています。
イベントの中で、食育ゲームやクイズを通じ、食の体験や栄養についての勉強できるのも魅力です。
そして、介護予防教室では、地域の介護予防運動を推進しています。
「いきいきフレンドサロン(なにわ元気塾)」では、地域の会館の身近な場所に集い、体操やゲームで体を動かしています。
音楽などのレクリエーションや手工芸も実施し、高齢者同士で交流を楽しむが、心と体の元気増進に繋がっているようです。
認知症予防教室や、認知症の支援のための多職種連携推進システム「るるるネット」の活性化を行い、認知症関連のサポートも推進しています。
介護者支援「いきいきライフサポーター制度」も導入

住吉区では、高齢者のいろいろな悩みに対応できるよう、高齢者向けの相談窓口を設置しています。
コミュニティソーシャルワーカー「CSW」では、福祉に関するお悩みに対応しています。
自分のことや家族のこと、生活のことなど、いろいろな悩みが相談できる機関で、相談の内容に合わせたサービスの情報提供や、問題解決につながる専門機関への取り次ぎも行っています。
住吉区を東西南北に分け、各エリアに「CSW」を設置し、地域の見守り活動も支援しています。
詳しいことを聞きたい場合は、住吉区役所の保健福祉課か、住吉区社会福祉協議会に相談すると良いでしょう。
また、男性介護者の集い「ほっこりサロン」では、介護をしている男性たちの交流の場を設けています。
日本全国で「介護者の3人に1人は男性」という状況になっており、介護男性の孤立が問題として増えました。
そのため、住吉区は介護に興味がある男性や介護に従事している男性が、気軽に情報交換や交流を楽しめる場として、ほっこりサロンを開催しています。
「介護に関する小さな悩みなどは、お互いに話し合い、解決に繋げていけるので嬉しい」といった感想も聞かれます。
ほっこりサロンは、住吉区の地域包括支援センターが申し込み先となっており、毎月100円で参加できるのもメリットです。
さらに、介護者支援「いきいきライフサポーター制度」では、家族が介護関連のイベントに参加している間、高齢者の預かりをしています。
「安心して介護の研修や講演会に参加できる」と好評です。