費用やサービスの選択の幅広さが特徴

川崎市多摩区は川崎市7区の1つで、多摩川を境に東京都に接する立地です。
名産としては「多摩川梨」が有名です。
多摩区は1972年に誕生し、2012年には区政40周年を迎え、今後もますます人口が増えていく街です。
交通アクセスとしては、JR南武線と、京王電鉄・相模原線が走行しています。
小田急バスや東急バス、コミュニティバス「あじさい号」も区内外を巡っていますし、遊園地「よみうりランド」まで向かう「よみうりランドスカイシャトル」も運行しています。
多摩区は、明治大学や日本女子大学、専修大学があり、学生も多い街です。
その一方で高齢者が幸せに生きていける環境づくりとして、多摩区も川崎市全体で行われている高齢者福祉サービスを多数実施しています。
例えば、外出支援サービス事業を低料金で実施し、身体機能の低下により交通機関の利用が困難な高齢者を、車いす用の車で送迎を行っています。
また、一人暮らしの高齢者で、定期的な安否確認が必要な方を対象に福祉電話相談を無料で行い、孤独化を防いでいます。
公的介護施設である特別養護老人ホームも多摩区にはあるのですが、希望者が多く、入居が厳しい状態が続いています。
自宅待機者のための在宅介護サポートもありますが、あまり無理せず、有料老人ホームを上手く活用しましょう。
有料老人ホームは頭金となる入居一時金が0円から数千万円と、非常に開きがあります。
月額利用料も数万円から60万円といった高額料金まで本当にさまざまです。
これは、有料老人ホームの設備やサービス内容によって料金の高低差が出ているためです。
金額を含め、サービスが自分に合った施設を探しましょう。
人工透析などの高度な医療サポートができる老人ホームもあります。
病気の方は特に、ホーム内で医療看護をしてもらえば通院せずに済むかもしれませんので、料金が高額であっても先々を考えて入居を決めることをおすすめします。
高齢化率は2023年には19.4%まで上昇
高齢者数の推移をみると、2010年の川崎市全体の高齢者人口は約23万人で、そのうち多摩区の人口は約3.3万人でした。
それが、2023年には川崎市全体の高齢者数は約30万人となり、多摩区の高齢者数も約4.3万人に上昇しました。
多摩区の高齢者人口は13年で1万人ほど増えているのです。2010年の高齢化率は15.9%、2023年の高齢化率は19.9%。数値としては緩やかですが、多摩区も高齢化が進んでいるといえます。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
15歳から64歳までの生産年齢人口も比較的多いため、多摩区の総人口は毎年増加しており、2010年には 21万3,894人だった総人口は2023年には21万5,269人まで増加しています。
また、65歳以上の高齢者が緩やかに増えており、高齢化率も2010年には15.9%でしたが2023年には19.9%まで上昇しました。
一方、0歳から14歳までの年少人口の割合は年々減っており、少子高齢化の波が多摩区にも押し寄せています。
将来推計では、高齢化率は今後も上昇し続け、2025年には22.6%になるとされています。
さらに、2030年頃から総人口が緩やかに減少し始め、高齢化に拍車がかかると予測されています。
多摩区は迫り来る超高齢社会に備え、介護予防活動の推進や、高齢者福祉サービスの充実などに急いでいます。
地域住民が防災を通じてつながる「防災ウォーク」も開催
多摩区の南部には多摩丘陵が広がり、北には多摩川が流れ、川沿いには緑地が広がっています。
都市部としては、貴重な水と緑に囲まれた街です。
区は「ピクニックタウン多摩区」と銘打ち、区内の豊かな自然を生かして街の活性化を目指しています。
区内には遊園地「よみうりランド」や「藤子・F・不二雄ミュージアム」、「川崎市岡本太郎美術館」など、観光スポットも多数。
川崎市屈指の観光エリアとなっています。
多摩区は元々の資源を活かし、より魅力的で住民が暮らしやすい街を構築中です。

多摩区では高齢者にとっても暮らしやすい街にするため、地域における課題の解決や、見守りネットワークの構築を進め、地域住民による「地域ケア会議」を実施しています。
さらに、区役所が中心となり、地域包括支援センターや介護支援専門員会、社会福祉協議会、認知症ネットワーク、医師会、民生委員児童委員が、さまざまな地域の問題を検討する「地域ケア推進会議」も開催しています。
会議を通じて各機関のネットワークの強化に努めています。
また、多摩区地域包括ケアシステム推進事業として、「地域福祉ネットワークづくり事業」や「地域福祉啓発事業」を推進しています。
この事業では、地域福祉活動をしている団体同士がお互いに交流し、連携していくための交流会を開催しています。
地域住民同士が防災を通じてつながる「防災ウォーク」も開催し、地域住民やボランティアの連携を強化しています。
加えて、多職種ネットワーク組織チームの活動では、医療や介護のスタッフの連携を強化し、市民公開講座を通じて在宅医療や看取りへの理解や関心を高めています。
介護予防のための「多摩区みんなの公園体操」を実施
多摩区では高齢者の健康づくりや介護予防のため、さまざまな活動を実施中です。
介護予防事業では、「多摩区みんなの公園体操」「多摩区いきいき体操」を推進しています。
「多摩区みんなの公園体操」は、各地の公園を拠点とし、子どもから高齢者まで世代を超えた住民が一緒に介護予防体操ができるようにしています。
公園だけでなく、自治開館前や神社などでも行っており、参加しやすいのが魅力です。

「多摩区いきいき体操」では、自治会館などの室内で、介護予防体操を行い、健康づくりを促進しています。
また、区とボランティアが協力し「多摩区健康ウォーク体験教室」も開講しています。
その他にも、多摩区ウォーキング推進委員会が定期的に健康づくりや介護予防を目的として「多摩ウォーク」を実施しています。
「多摩ウォーク」では、地域の魅力が再発見できるような季節感のあるコースを歩くので、高齢者からも好評のようです。
多摩区は地区別ウォーキングを自主的に開催するグループを増やすため、普及活動も行っています。
さらに、「いこい元気広場」では、いこいの家で運動の専門スタッフが健康体操を定期的に開催しています。
地域の高齢者が運動の習慣を身につけるのに一役買っています。
介護予防普及啓発事業では、在宅介護や高齢者うつ、認知症、口腔ケアを学べる教室を開催しており、高齢者の健康維持に関する知識や介護の仕方が学べます。
「多摩区スポーツフェスタ」では、高齢者も参加しやすいスポーツ活動を実施しています。
パラリンピックやねんりんぴっくなどを目指し、本格的な活動も行っています。
多摩区の高齢者相談
多摩区では高齢者のいろいろな相談に対応するべく、高齢者相談窓口を設置しています。
「多摩区あんしんセンター(多摩区社会福祉協議会)」では、高齢者相談を行い、一人ひとりが必要としているサポートを実施しています。

65歳以上で生活に援助が必要な人や、認知症で福祉サービスの利用契約や金銭管理が難しくなった人を対象に、契約や金銭管理の代行を行い、高齢者の権利を守っています。
多摩区あんしんセンターでは、日常的な金銭管理や契約に関する相談なら何でも可能です。
「足が痛くて銀行に行けない」「契約書や権利書などがわからなくなるのが怖い。
預かってもらえないか?」といった相談もできます。
必要な場合は成年後見制度を利用し、サポート活動を行います。
サポートは有料ですが、日常生活で金銭管理が不安な人はすぐに相談すると良いでしょう。
さらに、「川崎市総合福祉センター」では、弁護士や医師による専門相談も開催しており、法律や病気に関する高度なアドバイスがもらえるのがポイントです。
また、「地域包括支援センター」は川崎市から委託を受けている公的な相談窓口です。
無料で高齢者の相談に乗っています。
「足が悪くてセンターまで行けない」という場合は自宅までスタッフが訪問したり、電話での相談も行っています。
介護や福祉、医療、何でも相談できるのが魅力で、家族や地域住民も相談可能です。
例えば「在宅介護だが金銭的に厳しい。
何か使えるサービスはないか?」といった相談をすれば、おむつ支給サービスなど、適切な福祉サービスを紹介してもらえるでしょう。