自他ともに認める北陸最大の都市には、介護施設も多数あります

石川県の中央からやや南寄りに位置する、県庁所在地である金沢市。
かつて、100万石の大大名であった前田家・加賀藩の城下町として、繁栄を極めた歴史を持つ都市です。
兼六園をはじめとした観光資源の多さは、今では国際的に認知されるほどです。
金沢市は、北陸地方のなかでも経済や文化などの中心地として現在も栄えています。
都市の景観を見ても、伝統的な街並みが残る一方で、バリアフリーなどが徹底的に整備されている様子を随所で確認できるなど、バランスのとれた都市計画の実施ぶりが伝わってきます。
交通システムにおいても、JR北陸本線と北陸新幹線がその中核をなし、非常に利便性が高い都市です。
しかし、北陸鉄道の石川線と浅野川線の方が駅の多さでは上回っており、近場への移動には頼もしい存在です。
また、IRいしかわ鉄道線の存在も見逃せません。
北陸で一番知名度が高い高速道路といえば、北陸自動車道でしょう。
金沢市内も当然通っており、インターチェンジが3ヵ所設置されています。
また、能登有料道路のインターチェンジを愛用する市民も多いようです。
石川の県庁所在地だけあって、市内を走る国道は7本に上りますが、県道となればその数は一気に増え、30本以上に達します。
北陸の中心地である金沢市は、2000年に入ってから人口が一旦減少傾向に傾いたものの、近年では回復してきています。
2023年のデータでは、金沢市の高齢化率は29.5%でしたが、県全体の結果と比べると、少子化率の方がやや目立つようです。
少子化対策を重視した福祉政策の必要性が高いことは確かでしょう。
とはいうものの、高齢化率の上昇を見逃せないのも事実です。
幸い、金沢市内には既に介護施設が多く建設されています。
安さを求める場合、特別養護老人ホームや老人保健施設などが自然と選択肢に上がってきますが、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅も、コスト面で希望に合うチャンスがあるでしょう。
住宅型有料老人ホームなども、その意味では十分見つかる可能性があります。
金沢市では4人に1人が高齢者
金沢市は、兼六園などの観光資源に恵まれており、全国的に人気が高い都市です。
そのため、人口が減少している都市が多いなか、金沢市は人口が増えている街です。
しかし、人口とともに高齢者も年々増えており、高齢化対策が課題となっています。
1985年の総人口は約43万人、高齢者数は約4万4,000人で、高齢化率は10.3%でした。
1995年の総人口は約45万4,000人、高齢者数は約6万2,000人で、高齢化率は13.3%。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2005年の総人口は約45万5,000人、高齢者数は約8万3,000人で、高齢化率は18.4%。
その後2015年の総人口は約46万6,000人、高齢者数は約11万4,000人で、高齢化率は25.0%まで上昇。2023年の総人口は約44万7,000人、高齢化率27.3%です。
4人に1人は高齢者という高齢化社会が訪れています。
なお、高齢者人口に反比例するように子どもの数は減っています。
金沢市では、人口の増加にともなって世帯数も増えており、特に高齢者のいる世帯が増加中です。
1985年には総世帯数14万699世帯に対し、高齢者のいる世帯数は3万2,287世帯、その中で一人暮らしの高齢者世帯が3,809世帯、高齢夫婦世帯が4,912世帯でした。
しかし、2020年には総世帯数は19万9,985世帯、高齢者のいる世帯数7万1,923世帯、その中で一人暮らしの高齢者世帯が1万9,497世帯、高齢夫婦世帯が2万435世帯となっており、高齢者のいる世帯の中でも、一人暮らしの高齢者世帯と高齢夫婦世帯が大幅に増えています。
金沢市は、少子高齢化対策と共に、一人暮らしや夫婦だけで暮らしている高齢者の生活をサポートする対策に力を入れています。
要支援・要介護認定者数は2023年には2万人を超えた
金沢市では、高齢者の増加にともなって、要支援・要介護認定者の数も増えています。
2010年に1万8,311人だった要支援・要介護認定者数は急激に増加し、2024年には2万4,703人となりました。

要支援・要介護認定者のうち、要介護1の認定者が一番多く、2024年の調査によると要介護1の人は認定者全体の21.9%。
5人に1人は要介護1といった状況です。
次いで要介護2、要支援1、要支援2と続きます。
金沢市では、要支援認定者の介護度が上がらないよう、高齢者の自立生活をサポートする対策にも注力しています。
介護保険給付金の額も多くなっており、居宅サービスに一番多く使われています。
次に施設サービス、そして地域密着型サービスと続きますが、近年地域密着型サービスの利用が増えており、そちらへの給付金も多くなっています。
介護保険サービスには、車椅子や歩行補助杖などの福祉用具貸与、訪問介護、訪問リハビリテーション、訪問看護など自宅で利用できるサービスや、デイサービス(通所介護)や通所リハビリテーション、ショートステイ(短期入所)などの通所サービスがあります。
施設に入居していても利用できるサービスも多く、内容は豊富です。
特に訪問介護のなかには、入浴や排泄などの介助をしてもらえる「身体介護」と、掃除や買物代行などをしてもらえる「生活援助」があり、大変人気です。
くわえて、介護と医療サポートがどちらも受けられる「介護医療院」の創設や、高齢者と障がいを持つ人が、同じ事業所からサービスを受けられる「共生型サービス」の創設など、金沢市は新しいサービスも少しずつ増やしています。
ウォーキングしながら介護予防ができる「金沢ウォーク」

金沢市では、高齢者の心身機能維持および向上、活動促進、社会参加の促進などを通じて、介護予防や介護度の重度化を防止する事業を行っています。
介護予防といっても、高齢者が一人で体操をするだけではなく、日常的に社会活動などに参加し、生きがいや役割を持って暮らしていける環境を整えています。
介護予防には、健康や体力の維持が欠かせません。
金沢市では、皆でウォーキングを楽しむ「金沢ウォーク」や、高齢者向けのスポーツイベントやレクリエーションイベントを開催。
さらには「1日1万歩」運動などを推進しています。
スポーツ振興事業では、ストレッチや機能改善体操などを実施。
一人ではなく大人数で行うため、続けやすくコミュニケーションを取れるのが魅力です。
また、介護予防には「生きがい」が重要であるという観点から、高齢者の生きがいづくりにも力を注いでいます。
清掃などの社会奉仕活動や、勉強会などの文化的活動、スポーツ活動などを行う老人クラブの活動を支援したり、金沢ボランティアセンターなどが実施しているボランティア活動への参加を促進したりしています。
パソコン操作が習える「パソコンサロン」など、高齢者向けの講座の充実や、高齢者が作成した作品を展示するいきいきギャラリーの設置など、高齢者の文化的な活動を支援しています。
各公民館などで行われる「地域サロン」も、健康教室や会食、手作り教室などを開催し、高齢者の趣味や生きがいづくりに貢献。
さらにシルバー人材センターでは、高齢者の就労支援を行い、労働意欲のある人と高齢者向けの仕事をマッチングさせています。
金沢市独自の「長寿安心プラン」を推進している

金沢市では、「長寿安心プラン」という包括的に高齢者をケアする計画を立てました。
高齢者が尊厳を持って、安全かつ安心して生活できる環境づくりのため、介護だけでなく医療や地域など、さまざまな角度から高齢者をケアするシステムを構築中です。
特別養護老人ホームやグループホームなどの「高齢者の住まいの確保事業」では、所得が低い人が暮らせる場所の確保などを行っていますし、「高齢者の社会参加促進事業」では、高齢者の就労支援や高齢者向けの講座、体操教室の開催などを行っています。
また、「認知症対策事業」では、認知症高齢者とその家族を支えるため、認知症相談会などを実施しています。
地域全体で高齢者の見守りができるよう、地域コミュニティづくりや、その活動支援なども実施。
金沢市社会福祉協議会と金沢市が連携し、地域包括支援センターや福祉活動推進員などが、高齢者の見守りや声かけ、フォローなどを行っています。
在宅支援サービスも、徐々に拡充しています。
配食サービスや紙おむつの支給、寝具乾燥・消毒サービスや理髪・美容サービスなど、利用できるサービスが多く、利用者は年々増加しています。
さらに、高齢者の生活支援・介護予防体制の充実を目指し、生活介助や栄養指導などの訪問サービスを実施。
通所型の口腔機能改善サポートや、生活機能向上のための体操など、レクリエーションを行う通所サービスなども増やしていますし、サポートを行うボランティアの育成にも力を入れています。
金沢市では、介護サービスや在宅医療などを必要する高齢者が、気軽にサービスを利用できる環境づくりに励んでいます。
金沢市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

金沢市地域包括支援センターでは、在宅介護や介護予防、福祉サービスに関する相談や申し込みができます。
高齢者を介護している家族も利用可能で、介護方法や介護に関する悩みなどが相談できます。
支援センターまで行けない人のために、電話での相談や訪問指導も実施。
高齢者の虐待防止や権利を守るためのサポートも行っています。
さらに、介護予防教室や家族介護教室なども開催しており、相談しながら学べるのも魅力。
難しい内容の相談でも、専門家が対応しますので、的確なアドバイスがもらえるでしょう。
金沢市の社会福祉協議会では、認知症で判断力が低下した人などを対象に、金銭管理などの相談にも乗っています。
金銭や通帳や印鑑など、大切な物の管理代行をしてもらえますし、権利擁護のためのサポートを受けることができます。
また、金沢市が設けた「市民相談室」では、心身の健康や生活の悩みから法的な悩みなど、あらゆる相談が可能です。
市政に関する不満などは「市政相談」、不動産や民事問題などは「法律相談」、生活についての悩み全般は「一般相談」、遺言の書き方や遺産相続についての相談は「許認可手続き・遺言相続相談」が窓口となっています。
相談できる日時が決まっていますが、すべて無料で利用することができます。
さらに近江町消費生活センターでは、振り込め詐欺や悪質商法、架空請求などに関して、疑問や悩みを相談できる「消費生活相談」を開催。
弁護士や司法書士による相談も開催されていますし、建築士による「住生活相談」もあります。
金沢市では多種多様な悩み相談が実施されており、心配事を解消できる環境が整っています。