サ高住の供給を促進中。今後の展開に期待!

岐阜市は、県の南側に位置する県庁所在地です。
県内ではあまり面積が広い地域ではありませんが、戦国時代にさかのぼる長い歴史を持つ魅力的な都市です。
愛知県の名古屋市に出向きやすいことも、市民に歓迎されている特徴です。
これまで、観光都市としてPR活動に力を入れてきましたが、その努力が実を結び各地から観光客が集まるようになりました。
市内の人口は、1980年代にピークに達し、その後は横ばい状態から少しずつ減少しています。
市内の中心部から郊外への移動が相次ぎ、ドーナツ化現象が起こっていることも懸念材料となっています。
そして、少子高齢化についても無視できない状況になっています。
2000年に初めて少子化率が15%を割った一方で、2005年には、初めて高齢化率が20%を超えました。
2023年には、高齢化率29.0%を記録しています。
岐阜市の行政はこの状況をよく理解しており、随時政策の見直しや変更を行い、高齢者やその家族のサポートに努めています。
最近は、自宅で生活し続けたいという高齢者が多いことを踏まえて、「介護保険居宅介護住宅改修費」や「高齢者住宅改善促進助成事業」などの政策に力を入れてきました。
それに加え、岐阜市はサービス付き高齢者向け住宅の供給を推進する施策を打ち出しており、長期的には市内に高齢者の住まいが確実に増えていくものと見込まれています。
市民が高齢者の住まいに関して相談できる窓口も随時増やされており、遠慮なく相談できる環境が整えられつつあります。
もちろん、そのほかの施設の利用も難しいことではありません。
市内には、空きのある有料老人ホーム・グループホーム・特別養護老人ホームなどが比較的豊富です。
価格帯も幅広く、入居一時金や毎月の使用料が8万円前後で済む、格安の施設も比較的多く見つけることができます。
駅から少し距離がある施設が多い傾向はあるものの、タクシーやバスなどを利用すれば、不便さはそう感じないでしょう。
岐阜市は、交通インフラや市内の商業施設などの面では、ほかの都市に一歩を譲るかもしれませんが、これからどんどん高齢者の居住環境が改められていくチャンスがあります。
将来的に、楽しい老後を送れる可能性が高い都市といえそうです。
岐阜市の高齢化率は2023年には29.0%に
岐阜市では、ほかの市と同様に高齢化や人口減少が起きています。
2000年に17.6%だった高齢化率は2010年に22.9%となり、2015年には27.5%、2023年に29.0%にまで上昇しました。
現在、岐阜市は4人に1人以上が高齢者という状況です。
さらに、この高齢化率は2025年に32.0%まで上昇し、2050年には39.0%まで上昇すると推測されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
一方15歳未満の子ども世代は、1975年に約10.1万人を記録してからは減少に転じ、2060年には約2.7万人まで減少すると推測されています。
15歳から64歳の生産年齢世代は、1990年の約28.7万人をピークに年々減っており、2010年には約14.2万人になりました。
今後2060年には約14.2万人まで減ると推測されています。
総人口も1985年から減少に転じ、2005年には40万人を切りました。
その後、2006年に柳津町と合併し、総人口は約41.3万人まで増加しましたが、その後は年々減少傾向が続いています。
岐阜市の将来推計では、総人口は2020年に再び40万人を切り、2055年あたりには30万人を切ると推測されています。
しかも、死亡率は年々上がっており、2006年あたりから死亡率が出生率を超えました。
このように、岐阜市には総人口と子どもの数は減り、高齢者は増加する「少子高齢化社会」が到来しています。
そのため、岐阜市は現実的な少子高齢化対策を推進し、増え続ける高齢者のために地域の生活機能の整備やコミュニティバスの運営など、高齢者が住みやすい街づくりを行っています。
岐阜市では居宅サービス利用の需要が多い
岐阜市の要介護認定率は圏域によって差があり、中央南(地域包括支援センター中央西の管轄エリア)22.5%、中央北(支援センター中央北の管轄エリア)が21.8%、岐北(支援センター岐北の管轄エリア)が20.2%、南部(支援センター南部の管轄エリア)20.0%と、4つのエリアが20%を超えています。
認定率が低いエリアは、認定率15.4%の境川(支援センター境川の管轄エリア)、16.3%の西部(支援センター西部の管轄エリア)、そして16.4%の市橋(支援センター精華の管轄エリア)です。

認定率の高い中央南や中央北は、高齢化率が30%を超えており高齢者の多いエリアです。
一方、認定率の低い境川は高齢化率が19.0%と市内で最も低く、高齢者が少ないのが特徴。
高齢者が多い地域は、自ずと認定率も高くなっています。
介護サービス提供施設の利用状況としては、どのエリアも通所介護を利用している人が多く、施設数も多いです。
次にグループホームなどの認知症対応型共同生活介護、短期入居生活介護が続きます。
しかし、地域密着型特定施設入居者生活介護などは長森エリアにしか無く、エリアによっては介護サービス提供施設が少ないのが現状です。
また、さまざまな高齢者向けの施設が市内各地にあり、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などを利用している人も多い状況です。
居宅サービスも豊富で、岐阜市では施設サービス利用者よりも居宅サービス利用者の方が多いです。
介護保険内で利用できる回数は決まっていますが、訪問介護や訪問入浴看護、夜間対応型訪問看護などのサービスがあり、要支援・要介護認定者なら誰でも気軽に利用できます。
岐阜市独自の介護支援「基準緩和型デイサービス」を展開
施設に入居せず、自宅で生活ができる状態を維持することも介護予防のひとつです。
岐阜市は全国で実施されている介護支援サービスに加えて、岐阜市独自の基準による介護支援「基準緩和型デイサービス」を行っています。

利用対象は要支援1・2の人と事業対象者ですが、低料金で訪問介護などの介護支援サービスが利用できるようになっており、自宅での生活維持をサポートします。
要支援認定を受けていない人も利用できる場合があるので、希望する方は地域包括支援センターに問い合わせると良いでしょう。
また、岐阜市は高齢者の心身の健康維持にも積極的で、シルバー人材センターなどの就労支援、生活習慣病対策やスポーツ活動の推進などを行っています。
高齢者体育大会やフォークダンス、健康体操が楽しめる高齢者スポーツ教室の開催や、健康寿命を延ばすためラジオ体操を普及させています。
高齢者向けのスポーツ関連イベントも多く、事業市内を5ブロックに分け、ゲートボール大会なども実施。
運動だけでなく、交流も楽しめるように配慮しています。
その他にも、生きがいづくりや地域活動を奨励しており、老人健康農業事業では60歳以上の人に農園を区画で貸し出すなど、60歳以上の人がさまざまな活動を行う、老人クラブの活動を支援しています。
そのほか、バスに格安で乗れる「高齢者おでかけバスカード」や、施設利用料が無料になる「シルバーカード」などを交付し、高齢者が外出したくなるように工夫しています。
地域の「見守りチーム」が地域包括ケアを支援
高齢者とその家族が快適に暮らせるように、岐阜市は地域全体でケアするシステムを構築中です。

地域包括支援センターなどの行政機関、入所施設や訪問看護ステーション、介護事業所などの介護関連機関、かかりつけ医や住宅医、認知症疾患医療センターなどの医療関連機関、そして民生・児童委員や自治会などの地域グループが、実にさまざまな角度からサポートをしています。
さらに、地域の商店街や住民自治会などの「見守りチーム」が存在し、地域レベルで見守りや声かけなどが積極的に行えるよう、情報共有や連携をサポートしています。
地域包括支援センターや社会福祉協議会、医師・ケアマネージャーなどの「サービス介入チーム」が中心となり、介護やフォローが必要な人にサービスが行き届くよう注力しています。
提供されているサービスの一例としては「24時間対応の定期巡回・臨時対応サービス」があり、訪問スタッフが食事の用意や服薬の確認、おむつ交換などを実施。
生活・介護支援サポーターによるゴミ出し代行や配食サービスなど「見守り・配食などの生活支援サービス」も内容は多岐に渡っています。
また、いきいきサロンや老人クラブといった高齢者の交流場などでは、要支援・要介護認定者以外の高齢者が使えるサービスも実施されています。
地域包括支援センターに相談すれば、専門スタッフが必要なサービスを紹介するシステムになっています。
相談は無料ですので気軽に問い合わせてみましょう。
岐阜市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

岐阜市では「日常生活自立支援事業」を行い、日常生活に不安を感じている高齢者のために、福祉サービス利用手続きのサポートや、公共料金の支払い手続き代行、税金や保険料の支払い代行などを実施しています。
相談は無料ですが、サービスの利用料は発生します。
しかし、頼める家族がいない高齢者に好評のサポートシステムとなっています。
岐阜市社会福祉協議会が運営する「岐阜市民福祉活動センター」の中にある地域福祉課の生活相談係では、生活支援員が自宅訪問し、高齢者福祉に関する相談を受けることはもちろん、家庭の悩みや心の健康問題などについても相談に乗っています。
また、「成年後見制度利用促進事業(法人後見事業)」では、岐阜市社会福祉協議会の職員が、管理能力の低下した高齢者に代わり金銭の管理などを行っています。
生活福祉資金の貸付事業に関する相談も行っていますので、財産や金銭についても相談できます。
ふれあいいきいきサロンなどでは、希望すれば成年後見制度出前講座も開催されます。
地域包括支援センターでは、介護の悩みだけでなく生活全般の相談が可能で、地域の人々の相談にも乗っています。
岐阜市社会福祉協議会の市民相談室では高年齢者・障がい者職業相談も実施。
仕事や就労の悩みなどが相談可能です。
岐阜市社会福祉協議会の「ふれあい福祉センター」では、来所した人の心配事や困りごとの相談に乗っています。
岐阜市では、さまざまな高齢者向けの相談窓口を設けていますので、幅広く相談ができるのが魅力です。