つくばエクスプレスの開通で交通アクセスが便利に

千葉県北西部に位置する流山市は、江戸川をはさんで埼玉県の三郷市や吉川市と隣接しており、この辺りは江戸川・利根運河によって水運業で繁栄したエリア。江戸川沿いに今なお多くの水路が残っています。
ベッドタウンとして発展してきた歴史があるため、住宅密集地が市内に多く点在。川の周辺には散策に適した美しい緑地が広がり、老後の住処を持つのにふさわしい土地と言えるでしょう。
JR武蔵野線や東武野田線、流鉄流山線が長らく親しまれてきましたが、2005年のつくばエクスプレス開通でさらに利便性が向上しました。
新たな駅が誕生したこともあってこの10年間で商業施設が急速に増え、遠くに出かけなくても、何でも買い揃えられるというメリットも期待できるエリアです。
そんな流山市は要支援・要介護認定者が急増、高齢者介護政策の必要性が顕著になっており、あらゆる方向で政策の強化が続いています。
特別養護老人ホームへの入所希望者の受け入れのため、2015~2017年の間に合計200床が整備されたことはその一環と言えるでしょう。
流山市で有料老人ホームや高齢者向け住宅を探すと、さまざまな施設を検討することができ、種類、価格帯のいずれにしても、かなり幅がある様子です。
予算に限りがある場合なら、月額使用料が十数万円から20万円台半ばくらいまでの施設に絞ると、選択肢は豊富になるでしょう。
グループホームは以前と比べて増えており、認知症や要介護度などの条件に合いそうな場合は、そちらを中心に考えるのも良いアイディアでしょう。
流山市の高齢化率の上昇は緩やか
調査によると、流山市の通勤率は東京都へ33.5%、千葉県柏市へ12.5%となっており、3人に1人以上が市外に通勤しています。
JR武蔵野線、つくばエクスプレス(TX)などに加え、京成バスや東武バスなどの交通アクセスの充実がその後押しをしているようです。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
中心駅は流鉄の流山駅で、駅周辺には流山市役所などがありますが、近年、JR武蔵野線の南流山駅や、つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅の周辺も商業施設が増え、賑やかになりました。
流山市は東京都のベッドタウンとしても人気があるため、年々人口が増加している住宅都市。毎年4,000人ほど人口が増えており、2017年には人口が18万人を超え、千葉県内では八千代市に次いで第8位の多さです。
人口は今後も増え続けると予想されており、2023年には約20万8,000人と20万人を超えています。
他の市区町村に比べると、高齢化率は上昇傾向にあります。2024年の高齢化率は22.6%となっており、将来推計では2035年になると23%と徐々に上がっていきます。
しかし、地域によって差が激しく、東部圏域や北部圏域では高齢化率は30%前後。4人に1人以上は高齢者という状況で、より高齢者サポートが必要となっています。
「居宅療養管理指導」も年々利用者が増加している
流山市では、高齢化率は低めですが、高齢化は顕著であり、2023年には65歳以上の高齢者数は4万7,116人となりました。
今後も増え続けると予測されており、流山市は介護保険サービスや介護予防活動などを推進しています。

特に75歳以上の後期高齢者が増えているため、要支援・要介護認定者も増加中。2023年には75歳以上の後期高齢者人口は2万6,495人、前期高齢者人口は2万643人と前期高齢者よりも後期高齢者の人口が上回っています。要支援・要介護認定者数は2024年に9,250人となり、あと数年で1万人を超える予測です。
要支援・要介護認定者数、介護保険サービスの利用者数の増加に伴い、介護保険サービス給付費も増加。いかに給付費を減らすかが流山市の課題となっています。
しかし、介護と医療サポートを同時に必要とする高齢者が増えているため、看護士が療養のサポートを行う「訪問看護」や、自宅でリハビリテーションができる「訪問リハビリテーション」のサービス量をが増えていくことは決定的な状況です。
医師や歯科医師、薬剤師などが療養の管理や指導を行う「居宅療養管理指導」も年々利用者が増加中で、流山市は医師会などに協力を仰ぎ、サービス量を増やしています。
また、在宅生活を送る高齢者が短期入居できる短期入所生活介護(ショートステイ)や、デイサービスなども需要が高く、スタッフの増員や事業所の増設が求められています。
早期治療のための認知症初期集中支援チームの設置
流山市では多角的な高齢者サポートを行うための「地域包括ケアシステム」を推進。自宅で暮らす高齢者の自立支援や、介護予防・介護度の重度化防止活動などを積極的に実施中です。

認知症への施策では、認知症関連のサービス提供の流れをまとめた「認知症ケアパス」の配布や、認知症の早期発見・早期治療のための認知症初期集中支援チームの設置などを実施しています。
また、医療と介護のどちらも必要な高齢者のために、医療と介護の連携も推進。医師会や高齢者なんでも相談室などの連携体制を整え、介護度の高い高齢者の病院への受け入れや、看取りのフォローなどにも力を入れています。
また、日常生活に支障が出ている要支援・要介護認定者を対象として、介護ベッドや車イスなどの福祉用具を貸し出す「福祉用具貸与」や、入浴や排泄用の福祉用具を格安で販売する「福祉用具販売」を実施しています。
さらに、自宅での生活が難しい人を対象として施設サービスも充実させています。グループホームや特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの確保・増設は、高齢者の住まいの確保にも繋がっているようです。
近年、共生型サービスも増やしており、介護保険事業と障がい福祉サービス事業の両方のサービスを同じ事業者が提供できるようになりました。
流山市は高齢者だけ切り離して考えるのではなく、流山市民全員が健康的な生活が送れるような環境づくりを行っています。
自治会館などで「ながいき100歳体操」を行っている
流山市では介護予防活動を積極的に行うなか、介護予防教室講師の派遣事業では、市内で自主的な介護予防活動を実施する 65 歳以上の住民グループに、介護予防に関する講師を派遣。
介護度重度化防止推進員(介護度重度化防止推進員「ながいき応援団」の養成研修を終え、介護予防活動を行っている人)などが講師を務めています。

高齢者ふれあいの家や自治会館などで、「ながいき体操」や「ながいき100歳体操」を指導。栄養改善や口腔機能の向上、認知症をテーマとした勉強会も開催しています。
「ながいき体操」は、「流山市民の歌」に合わせて体をリズミカルに動かす体操で、「ながいき100歳体操」は重りをつけて、ゆったりとした歌を歌いながら体を動かす体操で、どちらも介護予防に効果があり、大勢の高齢者が参加しています。
生きがいづくりや支え合い活動の推進のためにも、住民グループの活動を支援。高齢者の社会参加や外出の支援のため、介護支援サポーターも育成中で、介護保険施設などで見守りなどを行うと換金可能なポイントがもらえるようにしています。
さらに、 ボランティア活動や健康づくり、高齢者向けのスポーツなどを行っている老人クラブの活動を推進。補助金を提供し、幅広い活動を支援しています。
「シルバーコミュニティ銭湯」事業では、70歳以上の高齢者を対象に、月2回ほど指定公衆浴場を無料で開放。高齢者の社交や交流の場となっており、利用者も多いようです。
流山市の高齢者相談
流山市では高齢者が気軽に相談ができるよう、高齢者向けの相談も多数用意しています。
市は医療法人や社会福祉法人に委託し、市内の3つの日常生活圏域(北部、東部、中部、南部)ごとに地域包括支援センター「高齢者なんでも相談室」を設置。保健師やケアマネージャーなどの専門スタッフが相談にのっています。

支援センターは、各種サービスの手続き代行や金銭管理の代行を行う成年後見制度、介護予防ケアマネジメントなども行っているため、広範囲の相談が可能です。
高齢者とその家族、さらに地域住民の方からの相談にも応じており、介護や福祉で気になることがあれば何でも相談できるのが魅力です。
また、介護支援課の介護予防係でも高齢者の介護・健康に関する相談を実施し、高齢者とその家族の介護の悩みや健康相談にも対応しています。
「最近おばあちゃんのもの忘れが酷くて…本人は自覚がないのですが…」「最近体力が落ちてきたのですが、何とかなりませんか?」といった悩み相談ができます。
高齢者向けの福祉サービスも申し込みも受け付けていますので、興味が湧いた方は「何か利用できるサービスはないですか?」と聞いてみるのも良いでしょう。
高齢者支援課の高齢者生きがい推進係でも、高齢者の就労相談や敬老会のこと、老人クラブに関することなど、高齢者の生活に関わる相談が可能で、高齢者趣味の家や地域福祉センター(ケアセンター)、高齢者福祉センター森の倶楽部などの福祉施設の利用についての質問もできます。