温暖な気候の千葉県は高齢者の生活に最適な地

千葉県はその土地の大半に平野が拡がっており(海抜500m以上の山地がない日本で唯一の県)、可住地が広いというのがその理由のひとつでもあります。
老人ホームの数が多いだけに、各施設の料金設定はさまざま。入居一時金は0~500万円、なかには1000万円を超えるところもあり、月額利用料に関しては10~30万円台など、非常に幅広い選択肢があります。
千葉県はそもそも、東京のベッドタウン、また工業用地として発展を遂げてきたという歴史があります。そのため、東京に程近い浦安市や船橋市、千葉市を中心に県西部は工業や交通網が発達しています。
その半面、南部や北東部は牧歌的な雰囲気を残す田畑が広がっており、公共交通機関はそれほど発達していませんが、高速道路の整備などは進んでおり、車での移動は便利です。
そのため、入居を考える際には、利用者はもちろん家族が面会に行く時の移動手段をどうするのかを頭に入れておくと良いでしょう。
太平洋の恵みを受け、年間を通して快適な気候の千葉県は、高齢者にとって過ごしやすい地域であることは間違いありません。
そんな穏やかな風土の中、千葉県では高齢者の仲間づくり・社会参加の場として「老人クラブ」という団体が組織されています。
これは、趣味やスポーツ、レクリエーション、ボランティアなどの活動を通じて社会活動に参加し、明るい長寿社会づくりを目指すもの。
千葉県の老人ホームへ入居が決まった場合は積極的に参加していくと、明るく楽しい生活が待っているはずですよ。
千葉県の高齢化率は全国よりも数パーセント低い
千葉県の総人口は、2023年には631万75人で、そのうち65歳以上の高齢者は173万7,143人、高齢化率は27.5%となっています。
高齢者の中でも、75歳以上の後期高齢者は94万8,798人で、総人口に占める割合は15.0%になっています。
2023年の全国の高齢化率は29.0%であり、千葉県は高齢化の低い県であることがわかります。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
しかし、千葉県全54市町村別の高齢化率をみていくと、1位の御宿町は51.9%、2位の鋸南町は49.3%、3位の南房総市で46.9%と40%を超える市も。
高齢者人口は、1位の御宿町は3,693人、2位の鋸南町は3,446人、3位の南房総市は1万6,688人でした。
その一方で、高齢化の低い順にみていくと、浦安市の18.4%、市川市の21.5%、流山市の22.6%と、地域によって高齢化率の高低差があるというのが千葉県の特長です。しかし、1番高齢化率の低い浦安市でも2010年には高齢化率11.5%だったものが、13年で約7%も増加しているため、高齢化が進んでいることが分かります。
2020年の国勢調査の結果によると独居高齢者数は29万9.889世帯となっており、2015年には25万8,253世帯だったことを考えると急激に増加しています。
高齢者夫婦の世帯は33万5,025世帯で、独居高齢者世帯と併せると63万4,914世帯、全世帯数に対して約23%が高齢者のみの世帯になっています。
要介護認定者数は2024年には30万人を超えた
2024年の第1号被保険者数は、173万3,971人。要介護認定者数をみると、総数30万7,103人、最も多い要介護1が6万7,290人と全体の約22%を占め、要介護認定者数は年々増加しています。

2024年度の介護サービス別の利用者数をみてみると、居宅サービスの利用人数は19万147人で約70%を占めています。
施設サービスは4万2,299人、地域密着型サービスは3万7,895人の利用者数となっています。
2013年と比較すると、居宅サービスの利用人数は13万8,155人、施設サービスは3万3,413人、地域密着型サービスは1万555人でしたので年々利用者数が増加していることが分かります。
特に居宅サービスは約10年で5万人ほど増加しています。
一般介護予防事業ではボランティアでもらったポイントを現金化できる制度がある
介護予防・日常生活支援総合事業は、2015年より自治体によって取り組まれる介護保険の新たな仕組みです。
千葉県内では2015年から順次、松戸市や柏市、千葉市などをはじめ、現在では全ての市町村で開始されています。

この事業は、地域の実情にあわせて、自治体が中心となり、多様なサービスを提供するというもので、65歳以上の高齢者全てを対象とする事業が展開されます。
また、これまで介護保険の認定を受けられなかったけれども、見守り支援を受けたいという場合でも、チェックリストに当てはまる事業該当者となればサービスを利用できるというのが、これまでと全く違う部分になります。
松戸市では、一般介護予防事業の中に、ボランティア活動の実績をポイント評価し、現金や品物と交換できるという仕組みを創設しました。
柏市では、65歳以上の方を対象に、介護支援サポーターを養成し、研修後に介護施設などでボランティア活動を行うことで、奨励金を受け取ることができる事業があります。
どちらも社会貢献をして、ポイントや奨励金などの報酬につながり、そしてさらに、これが介護予防にも通じるという取り組みですね。
そして、65歳以上全ての方が参加できる一般介護予防事業には、介護予防センターや社会福祉協議会、福祉活動推進課などがさまざまなプログラムを開催し、多様なサービスを実現しています。
高齢者の就労などを支援する地域包括ケアシステム
千葉県では、地域包括ケアシステムの構築のための目標と具体的な取り組みを公表。まずは、高齢者が生涯を通じて社会参加ができるような環境を整備することをあげています。
高齢者であっても就労が継続したり、地域の支え手となるような環境を作ること、さらに生涯大学校等の運営を行うなどの生きがいづくりのための支援を促進させるとしています。

次に、「健康寿命の延伸」をあげ、介護予防を含めた健康づくりや認知症予防を具体的な対策としています。
その関連事業には、市町村が中心になって行う介護予防に関する支援や生活習慣病を予防するための専門職の育成なども含まれています。
さらに、実際に地域包括ケアシステムの中心を担う地域包括支援センターの機能を強化するための支援として、センター職員への研修会を開催したり、地域ケア会議を充実させる取り組みへの支援などをあげています。
医療と介護の連携強化については、介護予防事業の充実や円滑なサービス提供を行うための支援をあげ、一番多くこの関連事業を持っています。
そして、高齢者の権利擁護を含めた安全・安心な地域づくりや認知症対策、医療・福祉・介護の人材養成や処遇改善についてを地域包括ケアシステムを構築するための具体策として盛り込んでいます。
このシステムの構築は、誰かが行うのではなく、自分自身や地域の仲間、制度、そして国や県と自治体みんなの力で成し遂げようというメッセージも伝わるものとなっています。
千葉県では「運営適正化委員会」に相福祉サービスの相談をすることができる
千葉県社会福祉協議会内には、福祉サービスに対する苦情を取り扱う窓口として「運営適正化委員会」が設置。社会福祉法に基づいて設置されているこの機関は、第三者の立場で福祉サービスに関する相談を受付け、解決に導いてくれる窓口です。

都道府県社会福祉協議会には必ず設置されている機関ですが、千葉県の運営適正化委員会は、相談受付だけにとどまらない活動をしています。
各事業所の苦情受付担当者や第三者委員、自治体職員等を対象とした苦情解決研修を福祉サービスの部門ごとに分けて開催し、アンケート調査も行ってフィードバックしています。
苦情に対応するということのメリットや心構え、事業所でも苦慮するクレーマーへの対応などが書かれた「苦情解決のポイント」を作成。ホームページからダウンロードが可能となっています。
ここまでの活動をみると、相談者のためだけではなく、苦情を取り扱う側のスキルアップのための活動にも積極的に取り組まれている様子がわかります。
この運営適正化委員会の相談窓口を利用できるのは、福祉サービスを利用している方やその家族や代理人、その利用者をよく知る人など。
まずは事業所や第三者委員に相談し、解決できなかったり納得できなかった場合、もしくは直接相談できない場合などに相談が受け付けられます。