わが家のおじいちゃん、最近、昨晩食べたメニューをすぐ忘れちゃう。たまにご飯を食べたかどうかわからなくなっているときも。こんなに物忘れがひどいんだから、認知症なんだわ、きっと…。
「こうなったら認知症だ」と断定したくなるが、人の老いはそう簡単に分類できない
「年相応」という考え方をしよう
「物忘れ」は認知症の代表的な症状とされ、「物忘れ=認知症」と考える人が少なくありません。しかし、人間の老いとはそんなに単純なものではないのです。
たとえば自分が何歳かわからなくても、いつもニコニコしていてコミュニケーションが円滑に進むお年寄りがいたとします。こういう人は認知症というより、「年相応」ではないでしょうか。
忘れても、周りの人に助けてもらえば大抵のことは解決できます。大切なのは、素直に頼れる関係を築けているかどうかです。
記憶のメカニズムと物忘れの関係
人間の記憶は、脳に書き込む「記銘(きめい)」とその記銘の「保持」、それを引き出して「再生」する3段階の作業で構成されています。
若い頃は感受性が豊かですから経験が深く記銘されており、それらは年をとっても良く覚えているものです。しかし、「食事」などは日常的に当たり前に行われる作業なので記銘も保持もされにくく、忘れやすくなってしまいます。
高齢者の物忘れは当然のこと。困ったら周りの人に聞けば良い
認知症かどうかよりも大切なことがある

「今の季節は?」と聞かれて答えられないとき、とっさに「今は…”いい季節”ですよ」と返す分別があるのはスゴイこと。これに「とりつくろい」などと症状名をつける人は、老いの魅力がわかっていない。
ついさっきのことを聞かれてわからなくても、認知症だと思う必要はありません。
それよりも、困ったときに助けを求められるかどうかが大切です。一番近い距離にいる家族だからこそ「認知症だ」と決めつけずに、そっと手を差し伸べてあげましょう。

「物忘れがひどくなった=認知症」と考えるのは良くない