毎日一生懸命介護をしているのに、相手に「死にたい」などと言われると、介護者は面白くないですよね。「こんなにやってあげているのに、何がそんなに不満なんだ」と言いたくもなるもの。でも、それで良いのでしょうか
聞き流したり、たしなめたりすると本人を追い詰めてしまう
気が沈み、ボケが深まることも
認知症のお年寄りの中には、すぐに「死にたい」と言い出す人がいます。
「いまの生活が不満だから死にたい」と言っているように聞こえると、まじめな介護者ほど不愉快になり、無力感にとらわれてしまいます。ネガティブな発言をいちいち真に受けては大変ですが、聞き流したり、「バカなことを言わないで」とたしなめたりしても解決はしません。
むしろ、本人は愚痴をこぼすこともできなくなり、追いつめられていきます。 また、愚痴をこぼすこともできなくなると、口数が少なくなることで余計にボケが進んでしまうこともあります。
楽しい経験や体験を増やしてあげよう
つらさの訴えと受けとめて、まずは話を聞いてあげる

「死にたい」という発言は本当に死にたいのではなく、つらさを言い替えた言葉と考えましょう。老人は誰でも、思うように体が動かなくなったり、大切な人に先立たれたりして、その人なりのつらさを抱えています。その、つらい気持ちを「死にたい」という言葉で訴えているのです。介護者は、その気持ちに寄り添うことが大切です。
まずは、話を聞いてあげます。話を聞くことは、相手を受け入れることつながるからです。ネガティブな発言が出たら、聞き流すのではなく、つらい気持ちに共感を示しましょう。
また、食事や散歩、旅行など、一緒に五感を使って過ごす時間を増やすことも有効です。楽しい思い出をつくることで、「生きていて良かった」と思える瞬間を増やしてあげたいですね。

「生きていて良かった」と思ってもらえる瞬間をつくろう