お父さん、また空き缶を集めているわ。この間処分したばかりなのに、困っちゃう。今日こそビシっと言って、もう集めないようにしてもらおう。
自分自身を尊重されていないように感じて傷つく
否定の視線は本人を追い詰める
認知症のお年寄りは、使ったティッシュやトイレットペーパー、紙おしぼりなど、一見すると不要なものを溜め込むことがあります。
家が散らかったり、そのままにしておくと不衛生だったり、家族にとっては不要なものなのでついつい勝手に処分してしまいたくなりますが、本人にとっては「貴重でもったいないもの」「あると落ち着くもの」など、何か手放したくない理由があるものです。
それを尊重せずに処分しようとすると、自分自身を尊重してもらえていないように感じて傷ついてしまいます。
頭ごなしに否定したりせず、尊重する姿勢を見せる
その人の人生に目を向けよう

収集しているものを頭ごなしに否定したりせず、尊重する姿勢を見せましょう。そうすることで、「この人は自分の気持ちをわかってくれている」と安心感を与えることができます。
今のお年寄りは、戦後のものがない時代を生き抜いてきた世代です。私たちから見たらゴミである紙くずも、貴重で高級なもののように感じています。
収集することを「問題行動」と捉えるのではなく、「どうしてこれを集めたいと思うのかな」と、本人の生きてきた人生の背景に興味を持ってほしいものです。その人を理解する糸口だと考えると良いでしょう。
不潔なものなど、収集している物品にどうしても問題がある場合は、本人に気づかれないように少しずつ片づけると良いですよ。本人にとっては集めることが重要な一方、少しずつなくなる分には気づかないことが多いのです。

集めたい気持ちは否定せず、少しずつ処分する