高齢になると誰でも認知機能が低下しやすく、認知症になるリスクが高まります。
認知症の方と一緒にレクを行うときは、その方への対応法やレクの内容について考えることも多いのではないでしょうか。
この記事では、認知症のある方と一緒にレクリエーションを楽しむときの注意点やポイントを解説いたします。
認知症の症状別おすすめレク
高齢者が体を動かすことにより体力や筋力の維持・向上、手や指先を動かすことで脳を活性化し、コミュニケーションの機会も増加するとされています。そのため、レクリエーションは、認知症の予防や症状改善に効果が期待されています。
ただ、すでに認知症と診断されている方とのレクにはさまざまな困難が伴います。そこで大切なのは、レクを症状に合わせること。認知症の主な症状別におすすめのレクを紹介します。
- アルツハイマー型認知症
- 記憶障がいや見当識障がい、意欲低下、孤独感などを起こしやすいとされています。個人差はありますが言葉を使ったり細かい作業ではなく、ボウリングやカラオケ大会といった体を動かすレクが最適です。
- 脳血管性認知症
- 脳出血、脳梗塞後遺症で片麻痺などがあるケースがあります。そのため、みんなでできる各種体操など、リハビリテーションを含めた軽い運動がおすすめです。
- 前頭側頭型認知症
- 症状としては言動に抑制がきかなくなるケースが多いですが、興味を引くことには熱中しやすいという特徴もあります。そこで、レクを行う前に趣味や社会経験を聞いて興味を持ちそうなことを準備するとスムーズに行いやすくなります。
- レビー小体型認知症
- 実在していない物が見える幻視などの症状が特徴的で、場合によっては手が震えるなどのパーキンソン病の症状が出ることもあります。軽い運動やカラオケなどでリフレッシュができるレクが良いでしょう。

自宅でもできる簡単レク
次に認知症の方とご家庭で一緒に楽しめる簡単なレクを紹介いたします。
- 思い出探し(回想レクリエーション)
- 若かりし頃の思い出を聞きながら、写真や地域紙などを用いて回想するレクです。会話によるコミュニケーションの増加だけでなく、信頼関係が深まり普段の生活もスムーズになります。
- 自作ボウリング
- 認知症によって不安感や孤独感が強くなると、体を動かすことが少なくなり身体機能も低下しやすくなります。そこで家でも簡単にできるのが、ペットボトルを利用した自作ボウリング。ボウリングは普段は使いにくい筋肉を動かすので、身体機能の改善も図れます。
- 間違い探し・手芸
- 間違い探しなどの脳トレや手芸などで手や指を多く動かすことによって脳内の血流が高まり、巧緻性も良くなり認知症予防や症状の改善になります。
認知症の方への配慮も大切なポイント
認知症の方と一緒にレクを行う場合で特に大事なポイントとしては次のとおりです。
- 認知症の方の意見を尊重して一緒にレクを選ぶ
- 子ども扱いはしない
- 認知症の方のレベルに合わせた内容にする
- 時間設定や体調管理に注意する
- できるだけ会話を多くする
認知症の方と一緒にレクを行うときは、疲れないように15~20分行った後に5分ほどの休憩を入れましょう。その際、水分補給をしながら行うと体温調節や脱水予防にもつながります。
認知症を発症すると、今までできていたことができなくなって自信をなくしてしまう方が多くいます。自信がないので会話が少なくなり、精神的にも不安定になります。そうなると認知症はますます進行しやすくなります。
さらには、会話の減少などで口を動かすことが少なくなると唾液の分泌量が減り、嚼力や嚥下機能の低下などが起こります。レクを活用して、できるだけわかりやすいテーマで話しかけてコミュニケーションを促すと効果的です。
認知症の方とのレクは、単なる楽しみだけではなく、リハビリテーションの意味合いもあります。また、生きがいを見つけることにもつながりますので、本記事を参考に楽しんでいただければうれしい限りです。
