年末になるとクリスマスなどの楽しいイベントが多くなります。
介護施設でもクリスマスや新年を迎えると、季節ごとのイベントを開催しています。
今回は、季節レクリエーションの目的や効果、家庭で行うときのポイントについて解説いたします。
介護施設で行われている季節レク
これまで私が勤務してきた介護老人保健施設やデイサービスセンターでは、季節のイベントに合わせたさまざまなレクリエーションを行ってきました。
- 1月:新春書き初め大会
- 2月:節分
- 3月:ひな祭り
- 4月:お花見ドライブ
- 5月:端午の節句
- 7月:七夕
- 8月:夏祭り
- 11月:文化祭・紅葉ドライブ
- 12月:クリスマス会
介護施設で行う季節レクリエーションは、入所している高齢者の活動意欲が低下することを防ぐ目的で行っています。
高齢になると、地域の活動や友人との関わりが少なくなり、自室に閉じこもる時間も多くなります。
そのような状態になると、体を動かす機会が減少するため、さらに介護が必要となったり、基礎疾患の病状が進行するリスクが高まります。
そこでおすすめしたいのが季節レクです。季節レクには次のような効果があると考えられます。
- コミュニケーションの向上
- 普段自室にいることが多いと他の人との会話が少なくなりますが「クリスマス会」などのレクリエーションに参加すると、スタッフや別の利用者との共通の話題ができます。こうしたイベントをきっかけにコミュニケーションを取りやすくなることもあるのです。
- 認知症予防
- クリスマス会や七夕などの季節レクでは、よく飾りつけがありますよね。この飾りつけをつくる作業を利用者さんと一緒に行うと、手先を使うことになり、脳内の血流量が向上します。間接的に認知症予防にも効果が期待できます。
- 居場所づくりや役割ができる
- 季節のイベントごとでは、自分の特技を披露する機会も増えます。例えば、習字が得意な利用者さんがいれば、新年会で書き初めをしてもらうことで、自信につながり自らの居場所づくりにも有効です。

ほかにも、施設外に出るお花見や紅葉狩りなどもあります。花や景色を見ることで、若い頃を思い出すこともあるでしょう。そうした思い出話などをする回想法は、認知機能に良い影響があると考えられています。
家庭で行う際のポイント
家庭で行う季節レクリエーションとしては、「節分」「ひな祭り」「七夕」「クリスマス会」などが考えられます。
こうしたイベントごとでは、高齢者の方に昔の風習などを聞きながら飾り物をつくると良いでしょう。お花見や紅葉狩りなどに出かけた際には、高齢者の思い出話などを聞いてあげてください。
声をかけてもなかなか乗ってくれない方もいらっしゃいます。誘っても参加したがらない方を説得するポイントは、若い頃に興味を持っていたことなどをあらかじめ聞いておくことです。
子どもの頃にクリスマスを祝う習慣がなかった方だと、クリスマス会を開いたとしてもあまり参加する意欲が湧かない可能性が高いからです。
参加してもらう方に合わせて企画することも大切です。
実際、介護施設ではご家族に若い頃の情報を確認してからレクリエーションへの参加を促しています。
実際の事例をご紹介いたします。
【事例】
Aさん(75歳・男性・要介護5)
Aさんは、普段レクに参加を促しても、なかなか参加してもらえず、やや自発性の低下が見られていました。
ご家族のお話によると、Aさんは若い頃、お花に興味があったそうです。
そこで春にはお花見、秋には紅葉狩りのドライブに誘いました。普段はあまり自発的にお話をされない方でしたが、現地に到着すると、ご自分から若い頃の話や花の話をし始めました。
その後、スタッフや他の利用者さんとのコミュニケーションが増え、レクへの参加率も増えたのです。

季節レクは、ただのお楽しみではなく、四季の季節を感じることによって高齢者のQOLの向上につながります。ご家庭でも積極的に取り入れていきましょう。