「この話、さっき聞いたな」「何日か前に言ったこと、もう忘れてる」
これは51歳の私が88歳の母に対して、最近になってよく感じることです。本記事を読まれている方の中には似た経験をされた方がおられるかもしれません。これまでに経験のない方であっても、「認知症かも」と思うような瞬間は早かれ遅かれやってきます。
では、そうなったときにどうすれば良いのか、今回は認知症を疑ったときに相談するべき場所をお話します。
日頃から認知症の人とかかわる機関へ相談
私が考える「相談するべき所」は3つあります。医療機関、地域包括支援センター、そして電話相談などの窓口です。ですが、ここで大切なのは、最初からこれらのどこへ行っても良いわけではないということです。
「親が認知症かも」と思ったら、まずは認知症の相談受付を掲げている機関に電話をするか、認知症の人や介護者が集まる場に出かけることがおすすめです。わからなければ、地域包括支援センターで教えてもらうか、インターネットなどで調べると良いでしょう。
これらの場所に共通するのは「話を聴いてもらえる」ということです。
話を聴いてもらうことで、親が認知症かどうか、おおよその見当がつきます。そして見当をつけておくことが、その先で介護を必要とするような状態になったとき、見通しを立てる意味でとても役立つのです。
相手は専門職ではないこともありますが、認知症の人を一番近くの立場で見ているのが良いのです。また、初めだけでなく何度電話をしても問題ありません。地域包括支援センターや医療機関ではそうしにくい面もありますが、それぞれに役割があります。
地域包括支援センターでは介護の情報を収集
次に訪れてほしいのが地域包括支援センターです。地域における介護の相談窓口で、さまざまな情報を持っています。それゆえ、介護が必要となったとき、提供している事業所や、施設の情報などを教えてもらえます。
名前と場所だけなら役所にもリストはありますが、それだけではわからない事業所や施設のそれぞれ特徴、短所も含めて聞くことができます。
また、状況によっては医療機関へ行くことになりますが、その情報も持ち合わせています。有効に活用すれば介護していく生活の強い味方となるでしょう。
医療機関を最後に訪れたほうが良い理由
医療機関には最後に行くことをおすすめします。受診される際は、まず何のために行くのかを明確にしておくことが大切です。間違えても「治すために」と考えて行ってはいけません。認知症は治ることがないからです。
では、何のために医療機関に行くのでしょうか。端的に言えば認知症との診断をしてもらうためです。そうしてもらうことで、まずは対象者の理解できなかった言動は、認知症だからだとわかり、適切な対応をすることができるようになります。
また、介護サービスによっては診断を受けていないと利用できないものがあります。そして、状況によって薬を必要とするようになったときは処方してもらうために行くことになります。
以上のことから、医療機関は目的もなく行くのはおすすめしません。ただ、何となく行っているという人の話を私もよく聞くので強調しておきます。
認知症との診断を受けるためには行ったがあとは一切行っていない、つまり薬も出してもらっていないという人と、私も実際にかかわっています。だからといって認知症の状態が悪くなっているわけではないようです。
認知症に関連する機関には、それぞれ役割があるので、正しく理解したうえで、順番を間違わず行くことが大切になります。